映像にマーカは映っているのに、何故か認識しないことがありますね。
そんなときに、敷居値探索アルゴリズムを変えると、うまく認識する場合があります。
MarkerSystemを使う場合には、敷居値探索アルゴリズムを簡単に切り替えることができます。
変更方法
アルゴリズムの変更には2つの実装が必要です。
- 敷居値決定アルゴリズムを導入したMarkerSystemConfigを定義する。
- 新しく定義したMarkerSystemConfigをMarkerSystemへセットする。
次の例では、敷居値探索アルゴリズムを判別法に切り替えています。
MyMarkerSystemConfigの定義
class MyNyARMarkerSystemConfig extends NyARMarkerSystemConfig { public MyNyARMarkerSystemConfig(InputStream i_ar_param_stream,int i_width,int i_height) throws NyARException { super(i_ar_param_stream,i_width,i_height); } public MyNyARMarkerSystemConfig(int i_width,int i_height) throws NyARException { super(i_width,i_height); } public INyARHistogramAnalyzer_Threshold createAutoThresholdArgorism() { return new NyARHistogramAnalyzer_DiscriminantThreshold(); } }
MarkerSystemへセット
NyARMarkerSystemConfig config = new MyNyARMarkerSystemConfig(320,240); NyARMarkerSystem s=new NyARMarkerSystem(config);
実装済のアルゴリズム
NyARToolKitには3種類の敷居値探索アルゴリズムが実装済みです。これらは、ヒストグラムから敷居値を探索します。
- 判別法 NyARHistogramAnalyzer_DiscriminantThreshold
- Kittler法 NyARHistogramAnalyzer_KittlerThreshold
- Spタイル法 NyARHistogramAnalyzer_SlidePTile
判別法、Kitter法は、良く知られたものです。Spタイル法は、NyARToolKit固有のものです。
NyARToolkitは、標準ではSpタイル法を使っています。
Spタイル法
Spタイル法は、白黒マーカの検出の為に考案した敷居値検出方式です。明点、暗点の両側から、一定割合の画素を除外して、その中心点を敷居値とします。
この方式は、入力画像の暗/明点付近にマーカの構成要素(白/黒)が集中している場合に、良好な結果が得られます。そうでない場合、あまり良い結果が得られません。
例えば、自然画の中にある浅い色のマーカが認識できないようなことが起こります。
独自の敷居値探索アルゴリズムの実装方法
INyARHistogramAnalyzer_Thresholdインタフェイスを実装したクラスを定義し、MarkerSystemConfigにセットすることで、ヒストグラムベースの敷居値探索アルゴリズムを使うことが出来ます。
例えば、次のコードは固定敷居値を返します。
public class MyHistogramAnalyzer implements INyARHistogramAnalyzer_Threshold { public int getThreshold(NyARHistogram i_histogram) { return 128; } }
敷居値探索オブジェクトは、MarkerSystem起動時に1度だけ作られます。検出してその値を返す以外に、フレーム間で敷居値の平均を取る処理等を追加することも出来ると思います。