NyARToolkit/3.0.0 リリース(ただし、NyARToolkitCSを除く)

NyARToolkit/3.0.0(Java)と、NyARToolkitAS3/3.0.0(ActionScript3)をリリースしました。(NyARToolkitCSについては、実装が間に合わなかったため、来年に見送ります。)

アップデート内容

今回のアップデート内容は以下の通りです。

機能修正

  • 既存モジュールについて、若干の性能向上があります。
  • 既存モジュールについて、再現率の低い不具合をいくつか修正しました。

機能変更

NyARToolkit/3.0.0では、ユーザアプリケーションを修正する必要がある変更を、多く実施しました。

  • 既存モジュールのプロジェクトを整理しました。utils,sampleのプロジェクトについて、前バージョンと互換性がなくなりました。
  • NyARToolkit.utils.jogl配下の関数仕様が大きく変わりました。
  • NyARToolkitモジュール内の関数で、多数の引数変更をしました。

機能追加

NyARToolkit/3.0.0では、より簡単にARアプリケーションを作成するためのコードが追加されています。

  • RPF(RealityPlatform)モジュールを追加しました。このモジュールは、detectorやprocessorに代わるモジュールです。非同期マーカ特定、トラッキング、エッジベース検出、複数マーカ、同一種マーカの取り扱いなどができます。
  • BufferedImageをそのまま取り扱うRasterクラスを追加しました。

不具合

  • RPFのトラッキング機能が不足しているため、平行移動するマーカを正しく追跡できないことがあります。
  • RPFの最適化が不十分であり、十分なパフォーマンスが出ないことがあります。

まとめ

今回追加したRPFモジュールを使用することで、より簡単に、複雑なARアプリケーションが作成できるようになります。たとえば、マーカの画像検索をオンラインで実行したり、マーカ以外の矩形をマーカのように取り扱うことができます。

既存モジュールについても、関数引数の見直し、名前見直しなどの修正があります。そのため、ユーザアプリケーションに若干の修正を加える必要があります。

現在のところ、RPFモジュールを使用しなければ、2.5xから3.x系にアップデートするメリットはあまりありません。RPFを使用しない場合は、2.5系をそのまま使用することをお勧めします。

RPFの詳細については、後日書きます。
それでは、良い新年を。来年もよろしくお願いいたします。

NyARToolkit/3.0.0に搭載する予定の矩形検出器デモ

NyARToolkit/3.0.0に搭載する予定の矩形検出器デモです。

以前の検出器と比べて、以下の特徴があります。

長所

  • エッジベースなので、環境光変化に強い。
  • 静止時の輪郭線破壊に強い。
  • マーカの一部(角)が多少範囲外に出ても問題ない。
  • 簡易トラッキングがあるので、同じ模様のマーカを区別できる。

短所

  • エッジに接近した他のエッジやノイズに弱い。
  • 細いマーカ枠に弱い。
  • マーカ内側の矩形も検出する。
  • 【不具合】トラッキングの機能不足のため、激しい動きを追従できない。
  • 【不具合】輪郭線のドリフトが発生する。(モード2の時に、じりじりと輪郭線が平行移動する現象。)
  • 【未実装】位置予測のフィードバックが無いため、ありえない矩形を主張することがある。

また、Flash版の問題点として、十分なスピード(平均的なPCで30fps)が稼げていない問題と、ドリフト現象が発生しやすい問題があります。

サンプルプログラム

こちらから実行できます。このプログラムで矩形と認識された対象は、将来マーカとして使用できるようになるかもしれません。
http://nyatla.jp/tmp/lrssqdetect-300b.swf

ソースコードは、NyARToolkitプロジェクトのSubversionにあります。NyARToolkitASのtrunkから、チェックアウトしてください。
http://sourceforge.jp/projects/nyartoolkit/svn/view/

カテゴリー: demo